何もできずとも
何時も思うのだ
彼女と出会わなければ
私は
もっと
もっと
嫌な人間になっていただろうと
40代
彼女は
旦那さんの浮気を
疑った
その頃
彼は単身赴任だった
毎日 電話が来た
私は
なだめたり
怒ったり
言い聞かせたり
そんな日々が続いた
ある日
彼女が電話で
「プーちゃん 帰りのホームでよ
私 ずーーーとベンチに座ってて
ずーーーと座って 気が付いたら
暗くなってて 時間が飛んじゃって
私何してるんだべって
こんな所で
何してたんだべって思ったら
急に泣けてきて
ホームでわんわん泣いちゃった」
その言葉を聞いた瞬間
その時の
彼女の気持ちが
彼女の様子が
手に取るように分かって
私は泣いた
「プーちゃんが何故泣く」
と
泣きながら彼女が言った
二人して
泣いた
あの夏
色々あるさ 人生
あなたも
わたしも
みんな
色々ある
だから
何も出来ないけれど
一緒に泣くくらいは出来る
隠した心の裏側を
よしよしと
トントン出来る
そんな
人間に
せめて
なりたいと思う
良い1日を
バンコクより