殺したい と 思った 人 5️⃣
裕次 が 疲れて
私に 疲れて 別れようと しています
心の 隅に
まだ 結婚したくない 私が いて
きっと 彼は
そんな私が 見えるのでしょう
私は 納得出来ないまま ですが
時が過ぎるのを
待っていたように 思います
そう
このまま 時が過ぎ
静かに 全てが 過去に なるのを
愚かにも 私は
時が 過ぎる のを 待てるものと 思っていたのです
彼と 会えなくなって
どの位 経った頃でしょう
突然 心は 動き出し
止める隙も 無く
ミシミシ と 想いは 溢れ
会わなければ
会わなければ
それだけが 津波のように 押しよせます
夜中に タクシーに 乗りました
彼の家に 着き
いつも 裕次が 寝ている 2階へ 真っ直ぐ 行きました
彼は 右手に タオルを まいて
血で 滲んだ タオルをまいて
酔っ払って 寝ています
その 姿を 見て
この人も 苦しんでいるのだと 分かります
酔って ケンカしたのが 分かります
何故 ケンカしたのかも 分かります
着の身着のままで タオルを 紅く 染め
寝ている 可哀想な 裕次
この人の 車の 助手席は
私の ものだと 思うのです
誰にも 座らせてなるものかと
般若の 心で 思います
そっと
洋服ダンス 開け
数少ない ネクタイ を 手に取り
壊れた 私は
彼に 馬乗りになって
そっと
そっと
首の下に ネクタイ 通します
何か 考えて いたのでしょうか
分かりません
本気で 殺そうと 思っていたのでしょうか
それも 分かりません
力 を 込め 引っ張りました
引っ張った途端
裕次
私の お腹を 蹴り上げました
私は 洋服ダンスに 頭打ち付け
大声で 怒鳴る 彼を 見ていました
憑き物が 落ちるように
怒鳴り散らす 彼を
そりゃそうだ と 見ていました
フラフラと 階段降りて
駅まで 歩き
ベンチに 座っていると
気狂い女の 私を 探し
裕次 が 来ました
2人とも 何も 話しませんでした
もう
話す事は ありませんでした
始発の 電車が 来るまで
黙ったまま
2人で 座っていました
電車に 乗り
そのまま
私は 日本海に 向かいます
海が 見たかったのです
長い時間 電車に 乗ります
バスにも 乗ります
砂浜に 座り
ボーー と 海を 眺めていました
私達の 季節が 終わったと
もう 二度と 手に入らないのだと
ぼんやり 思う
泣く事も無く
ぼんやり 思います
22歳の 陽が 沈む
海に 陽が 沈む
私の 陽 も 沈む 夕暮れ時です
🌠 🌠 🌠