殺したい と 思った 人 2️⃣
黙ったまま
真也君 と 私は 歩いた
大学生の 彼の アパートは
通りから 入った
路地の 奥に ある
「こんばんは プリン だけど」
声を 掛ける
「 いやぁーだーぁ どうしたのよぅ」
あっちゃんの 嬉しそうな 声
ドアが 開く
私の 後ろに いる 真也君 を 見て
あっちゃん 驚きで 声が 出ない
「 話が したいんだって ちょっと お邪魔するね」
彼女の 返事 も 聞かず 上がりこむ
真也君
「失礼します 」
と 言って
続いて 入る
とにかく 座り
私は 大学生の 彼を 見る
彼は 何が 起こっているのか 理解が出来ず
間の抜けた 顔を している
「あのね この人 真也君が 話したいんだって」
と 口火を切り
真也君 に 頷く
「川辺真也と 言います 突然 申し訳ありません」
真也君 頭を 下げる
大学生の 彼
「はぁー」
「僕は あつ子 と 高校時代からの 付き合いで 一緒に 山梨から 出て来ました」
彼
「はぁー」
「自分としては 結婚も 考えて 付き合っています」
あっちゃんは 彼の隣に 座って うつむいたまま
「で 聞きたいのですが そちらは どうゆうつもりですか」
彼
「どうゆうつもりと 言われてもねぇ」
「将来 結婚を 考えていますか」
真也君 彼から 目を離さず シッカリ 尋ねる
「いやぁー 結婚とか 言われても 俺 まだ 学生だしなぁ」
彼 は 悪びれず 言う
「自分としては あつ子の事 大事 に 思って来たので 遊びなら やめて欲しいのです」
「 結婚を 今は まだ 考えられないだけで 遊び と 言われても ねぇ」
「 今は 答えられないと 言う事ですか」
「そうだね」
真也君
ふっと 息を 吐く
あっちゃん に 顔を 向け
「聞いたよね で あつ子は どうしたいの 」
静かな 声 で 尋ねる
あっちゃん
下を 向いたまま
小さな 声で 答えた
「それで いい」
「此処に 残るって 事」
真也君 辛そうに 聞く
「うん」
あっちゃん コックン と 頷く
真也くん の 顔が 歪んで
驚いた様な
切ない様な
怒った様な
全ての 感情が 混ざった 顔 に なる
急に
「プリンさん 帰りましょう 」
と 私を 見て 言う
私は
「もう いいの」 と 確かめる
「はい」
「そう」
私達は 挨拶を し 部屋 を 出た
帰りの 道も 黙ったまま
2人で 歩いた
上京して もう直ぐ 1年に なろうとしていた
そんな事が あっても
私と あっちゃん の 関係 は 何も変わらなかった
ただ 私は
真也君と 大学生の 彼
そのやり取りを
よく考えたものだ
上京して
2度目の冬
BFの 1人
稔君 が 死んだ
交通事故で 死んだ
稔君の 友達が 教えてくれた
私の 売り場に 電話を くれた
閉店間際の 電話 だった
わき見運転で トラックに ぶつかった事
即死だったから 苦しまなかった 事
車の中に プレゼント用 の バックが あった事
稔君が 亡くなって
10日 近くも 経ってから 教えられた
稔君 は 23歳 だった
帰りの 電車の中 で
突然
私は 思う
そのバック 私のだ
私へ の クリスマスプレゼント だ
暗い 暗い 年の瀬 が
電車の 窓に
映って 流れていた
つづく
💫 💫 💫